女性に特有の問題とパニック障害
女性に特有の問題とパニック障害
女性には、男性と違って「月経」や「妊娠」といった人生のエピソードがあります。
こうした出来事自体が、男女の生活をかなり大きく異なるものにするわけですが、パニック障害をはじめとする心の病と女性特有のエピソードの間には密接な関係があります。
月経の前には、ホルモンバランスが崩れます。
このときにうつのような症状を見せる人もおり、「月経前症候群」という精神的に不安定になる症状が現れる人もいます。
また、実際に心の病にかかっている人で月経のタイミングで症状が悪化する人も少なくありません。
女性ホルモンには心理状態を不安にさせる働きがあるという話もありますので、その点も含めて、パニック障害で女性のほうが有病率が高いという背景になっているのではないかと考えられています。
この月経前症候群は、月経前になると「不安感やイライラが増したり、頭痛がしたり、疲労がたまりやすくなる」という症状が現れるものです。
逆に考えれば、生理の周期を逆算することができれば、症状のタイミングに合わせて適切な処置を行うことができます。
その月経前のタイミングに合わせて、SSRI(抗うつ剤)や抗不安剤や炭酸リチウム(気分安定薬)を増量することによって、症状を軽減することができます。生理期の不調からパニック障害を悪化させるようなことも少なくなるでしょう。
パニック障害と妊娠
パニック障害を持っている人が妊娠をきっかけにパニック障害が軽くなってしまう、パニック障害を持っていない人が妊娠をきっかけにパニック障害になってしまう、とどちらの可能性もあるようです。
妊娠期には女性ホルモンが爆発的に増えるため、女性の体質や精神状態は大きく変化すると考えて間違いないでしょう。
また、産後にもホルモンバランスが大きく変化するため、ここでも心の病が問題化します。
ここで、少し難しいポイントは、薬物療法と妊娠についてです。
薬を飲むと胎児に影響が出ないか、という悩みは妊娠されている人ならだれでも思うでしょう。
まず、端的にいえば、妊娠のタイミングでは断薬ができている状況が望ましいと考えられています。
ただし、突然投薬をやめてしまって病気を悪化させてしまってはどうしようもありません。
これは医師と相談して考えることになりますが、妊娠までにどれくらいまで薬物を減らすか、そしてその代わりに認知療法など薬を使わない心理療法でどれくらいカバーしていくかということを計画する必要があります。
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