パニック障害の心理療法
パニック障害で心理療法
精神医学では、薬を使って病気を治すというアプローチと、考え方や行動を変えることによって病気を治すというアプローチがあります。
前者が薬物療法、後者が心理療法に該当します。パニック障害で精神科を訪れると、まず薬物療法を受けることがほとんどです。
パニック障害に限らず、ほとんどの場合、精神科で行われるのはまず薬物療法です。
心理療法で、近年注目されているのは認知行動療法です。
一時は、認知療法と行動療法は二つの別のジャンルというイメージでしたが、今、たとえば大型の書店に行って「心理療法」とラベリングされている項目を探してみると、不安やうつやストレスへの対処法を学ぶワークブックは、認知行動療法に基づいています。
この認知行動療法では、うつ病などの心の病にかかりやすい人には特定の思考パターンがあり、その思考パターンを是正していくことで病気が改善されると考えます。
ここには、特定の思考パターンは原因ではなく、病気の結果だという反対意見もあります。
治療薬に対して、と同様に、心理療法に対しても効果があるのかどうかということが話題になっていることは治療に取り組む人間として知っておいたほうがよいでしょう。
心理療法は、認知・行動に働きかける
心理療法に基づいたときに、認知・行動にどう働きかけていくのかということを少し見ていきましょう。
認知行動療法のワークブックでよく見られるのは、認知・行動の二つの側面を変えていくということです。
認知というのは、外側の現実をどのように受け取ったり、解釈したりするか、ということです。
同じ出来事でも悪く受け取る人もいればよく受け取る人もいます。これが、すべて悪い方向に傾いていれば、その人の精神状態はまずくなります。
こうした信念(考え方)に基づいて、行動が行われることで、悪い習慣が身に付いたり、悪い結果を招く行動をとってしまいます。
信念をより現実的なものに変えると同時に、行動を変化させることが重要です。
パニック障害であれば、「パニック発作が起これば死んでしまうかもしれない」といった信念や「パニック発作がまたいつ起こるかもしれない」といった事実と憶測が混在する信念を分析し、パニック発作が起こったからといって死ぬことはないし、確かに発作はいつ起こるか分からないが対処の仕方はある、といったような現実的な対処法を学びます。
薬物療法は時間がかかりますが、行動療法は薬物療法よりも根気と時間がかかる治療法です。
考え方や習慣を変えることはなかなか大変なことなので、訓練を積み重ねる必要があります。
一度、カウンセリングを受ければ、不安やパニックがまたたく間に消える、といったものではないのです。
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