パニック障害と脳の危険信号
パニック障害と脳の危険信号
パニック障害は、脳の防衛システムが不調をきたしてしまったことから起こる病気と考えられています。
本来、外敵や危険から身を守るためにも恐怖感や不安は大事なものです。
火を見た時に怖いという気持ちがなければ、火災警報を聞いても何も感情が湧かないかもしれません。
下りの急な階段を見ても怖いと思わなければ、軽快に駆け下りてしまうかもしれません。
「怖い」「不安だ」という感情が働くからこそ、私たちは色々な危険を避けることができるのです。
しかし、一度防衛システムが壊れてしまうと、別に危険なことが何もないにもかかわらず、「怖い」「不安だ」という気持ちに支配されることになります。
パニック発作では「死んでしまうかもしれない」という現実離れした恐怖感に襲われますが、恐怖感は脳が作り出したものに他ならないので、怖いことが何もなかったとしても死ぬほど怖いのです。
脳の危険信号とは、気分や感情を発生させる装置そのものです。
私たちは物事をいちいち計算してから判断できるほど賢い生き物ではありません。その点で、嫌な気持ちになったり、恐怖感があれば、損得を計算することなしに嫌なものや危険なものを避けることができます。
ノルアドレナリンの働き
私たちの脳では、様々な神経伝達物質が行きかうことで感情の流れが生じています。
パニック障害では、様々な神経伝達物質の働きの中でノルアドレナリンという物質の働きがおかしくなることが原因ではないかと考えられています。
脳には青斑核(せいはんかく)と呼ばれる部位があり、そこからノルアドレナリンが分泌されて大脳周縁系と呼ばれる部位に到達することで、不安や恐怖を感じます。
この大脳周縁系と呼ばれる部分が感情をつかさどっています。私たちの祖先が自然のサバイバルを切り抜けてこられたのは、この神経伝達物質のおかげでもあります。
しかし、このノルアドレナリンの分泌が必要な時以外にも行われたらどうなるでしょうか。
前述した防衛システムの誤作動がこの状態に当たります。何も該当する状況や対象がないにもかかわらず、「怖い」「不安だ」という気持ちが生じます。
さらに、このノルアドレナリンが大量分泌されるようになると、体の色々な動作・状態を支えているシステムである自律神経にも影響を与えます。
動悸・めまいといった身体の不調を引き起こすのです。不安感や恐怖感の爆発と身体の不調が発作のようにやってくるのはこういった背景があります。
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