パニック障害が挫く患者の心
パニック障害が挫く患者の心
恐怖や不安によって強烈なパニックに陥ってしまうパニック発作、パニック発作が起こるのではないかという予期不安、パニック発作が起きた場所に行きたくない、あるいは助けが得られない場所へ行きたくないという広場恐怖、パニック発作が緩やかな形で慢性化する残遺(ざんい)症状―――こうしたパニック症状の側面は、患者の心を挫きます。
想像してほしいのですが、どれだけ健康な人であっても、街中を歩いている時にいきなり後ろから金属バットで頭へゴチンと一発かまされるかもしれない、という可能性があれば、気持ちよく生きていくことは難しいと思います。
ましてや、一度殴られたことがある人であれば、安穏(あんのん)とした気持ちで日々を過ごすことはできなくなるはずです。
パニック発作は、突発的で激しい恐怖を伴う発作です。
他人からバットで殴られるのとは違いますが、突然、わけのわからないものに襲われて身体や命の危険を(実際にあるかどうかは別として)味わうというのは平穏な日常を破壊するのに十分な出来事なのです。
そんな状態で、平然としていられるわけがありません。
パニック発作が繰り返されることによる無力感
急性のパニック発作の繰り返しから、残遺症状として緩やかなパニック症状の慢性化まで、激しさは薄れたとしても不愉快な出来事が生活のなかに根深く組み込まれてしまえば、パニック障害の患者さんは普通に生きていることが苦痛になります。
パニック障害になると性格が変わる人がいます。
毎日毎日嫌な思いをし、不安や恐怖を味わうというストレスフルな生活をしていれば、人格に影響が出るのも仕方がないことです。
別にパニック障害でなかったとしても、達成できるはずのないノルマを課せられて毎日恫喝されるという生活を送っていれば、人格に影響が出てくる人もいるはずです。
厳しいノルマの場合には職場を離れれば、不安や恐怖感を切り離すこともできるかもしれません。
しかし、パニック発作の場合には、不安や恐怖感を生む原因は自分自身のパニック障害にあります。
自分自身の頭を都合よく切り離すことは当然できません。従って、四六時中、不安やストレスに悩まされることになります。
恒常的に不安やストレスにさらされていれば、今までの自分に無力感を感じるようになってもおかしくはありません。
うつ症状に陥ったり、性格が変わるのにはそうした背景があります。
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