パニック発作
パニック発作
パニック障害は複数の側面を持っています。
しかし、パニック障害の症状の最も基本的なメカニズムは2つであるといわれています。
1つは、パニック障害の名前通りのパニック発作です。もう1つは、パニック発作が起こるかもしれないという予想に対する不安―――予期不安です。
さて、パニック発作ですが、これは、突然、自分が自分でなくなってしまうような不安感と、強い不安を抱いた時に起こる身体的な症状がひとまとめに襲ってくる症状です。
パニック障害の「パニック」とは単に混乱してしまうというくらいの意味のパニックではなく、質・量ともに強烈な不安症状が突然襲ってくるというレベルの事態なのです。
さらにこのパニック発作は一度のみならず、何度も襲ってきます。
乗り越えられるレベルの不安なら、度重なっても、その人の不安やストレスに対する耐性を逆に高めるくらいのものかもしれません。
しかし、パニック発作は本人を大きく揺るがすような症状なので、繰り返して行われれば、その人はボロボロになってしまいます。
そして、パニック発作の反復は、患者に「次もまたパニック発作が起こるのではないか」という不安を与えます。これが、パニック発作のもう一つの大きな特徴である予期不安です。
予期不安
パニック発作が起こった時に感じるのは、まさしく恐怖感です。
自分はここで死んでしまうのではないか、自分が自分ではなくなってしまうのではないか、という恐怖感―――それは、パニック発作が激しい不安の症状であり、本人にとっては少なくとも大惨事だからです。
パニック発作は繰り返す特徴があると先述しましたが、パニック発作とパニック発作の間で、患者は「次もパニック発作が起こるのではないか」という不安に駆られます。
これはまだ起こっていない次のパニック発作に対する不安であり、予期不安と呼ばれます。まだ起こってもいないパニック発作を予期して不安になるから、予期不安なのです。
この予期不安自体が、パニック発作の土壌となります。常に不安やストレスにさらされている状況を、本人の体(脳や神経)が想定して、備えてしまうのです。
パニック障害が深刻な不安障害であるのは、まさにこの予期不安のためであるといって過言ではないでしょう。
パニック障害は、繰り返される強烈なパニック発作とその間でパニック発作にあらかじめ身構えることで強い不安やストレスにさらされる予期不安のセットを中核としています。
そして、パニック発作や予期不安に結びついた様々な症状もまた、患者の人生を傷つけるものなのです。
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